攻殻機動隊のレビュー

さて今日はここ半年位ぼちぼちビデオを見てた攻殻機動隊ってアニメのレビュー。
誰もついてこれないだろうけどかなり衝撃的だったのでまとめてみた。

僕がはじめてビデオレンタルのお店でプラグに繋がれた女性のパッケージを見かけたのは1995年、もう13年も前のことだった。
当時は酷くグロテスクに見えたので興味はあったけどスルー。

その間13年間攻殻機動隊はどんどん有名になっていって僕の耳にも評判が聞こえてくるようになる。
その数年後マトリックスが公開、首に端末を差し込んで仮想現実の世界にダイブ、あれは衝撃的だった。
マトリックスの監督は攻殻機動隊に影響されて作ったという。
でもやっぱりグロテスクなのとセクシーな女性が主役でマニアックでオタク向けという印象はぬぐいきれず、実際友人が進めてくれても見ると約束してから見始めるまでに1年位かかった。
実際見始めてみると、グロテスクなのとセクシーな女性が主役でマニアックでオタク向けってのはやっぱりそうで、でもそれをもって有り余る、世界観とストーリーがあった。


作品の舞台はパラレルワールドの未来の日本。
東京は大戦で核を打ち込まれて水没、福岡が首都になっている世界。
この世界はインターネットが物凄く進歩していて人口のほとんどは電脳化していて脳から直接ネットにアクセス出来るってとんでもない世界。
主役は警察の特殊部隊なんだけど、
この世界では電脳をハッキングして記憶を改ざんとか、
衛星からヘリの操縦プログラムを脳にダウンロードしてインストールとか
そんな無茶なことを普通に駆使して犯人を追っていく。
最初若干これはありえないしマニアック過ぎるなーって見てたんだけど、この世界特有のルールがわかって来るとネットを駆使した緻密な情報戦とかめちゃめちゃ面白くなってくる。


そしてこの作品が凄いと思うのは手塚治がアトムやメトロポリスなんかで描いていた人間と同じ機能のあるロボットに人権はあるのかって問いかけに見事に答えて一歩先を行っているところ。
主役の女性は幼い頃に体をほとんどなくして全身擬体つまり体は完全にロボットで、でも彼女は確かに疑いようもなく人間、体が機械なだけ。
この世界は電脳化してるから記憶をコピーなんかは簡単に出来るけどロボットに人間の記憶をコピーしても人間にはならない。
じゃあ一体になにが機械の彼女を人間たらしめているのかというと
この世界は魂とか霊魂とかが科学的に解明されてて、人間にはゴーストってものが宿っているだとか
ロボットにそれが宿ることはない
だから機械の体に記憶とゴーストをコピーすれば、それは人間
ゴーストってやつは情とか欲望とかそういうものらしくて
プログラムでしかないロボットにこれを入れるととたんに人間に見えてくる。
こいつは画期的な発想だと思う。


僕なんかは魂は神聖なものでその周りに情や欲がついてるんだと思っていたけど
情や欲がなくなるととたんにロボットと変わらなくなってしまう、
実は情や欲が人間を人間たらしめている重要な要素だったというわけ。
それにしても必要のない思い出は外部記憶に保存とか
彼と記憶を並列化するとか出来て便利な世界
悪いやつはあの子のハートにハッキングかけて防壁を破って独り占めとか出来ちゃうだろうね。


僕は昔から精神世界とインターネットの世界はよく似てるって持論があって
こいつにはまさにそれが描かれていて
この世界にテレパシーはないけど電脳通信で頭の中で直接話せたりとかしてて
主役は宇宙からメッセージを受け取ったりせずにネットに潜って世界の隅々の情報を得る。
そして作品の大きなテーマはネットで脳が繋がれた人々が潜在意識レベルで意識が並列化されて来ている現象を描いていて、まさに精神世界でいうシンクロニシティ、集団覚醒意識ってやつのことだったりしてる。
現実世界のテレパシーレベルだと戯言でしかないシンクロニシティーも
人類を電脳化してネットで繋いでしまったら、それが顕著に大きな事象として現れてくる。
そしてもう一歩踏み込んで並列化を繰り返し没個性化していった中で逆に現れて来る個性ってなんて現象にも踏み込んでいって
とっても興味深い内容。


とまあこんなマニアックな作品なわけですよ
魂と体と意識
三位一体で人間で
それがそれぞれ
ゴーストと擬体と電脳にハイテク化されて極端に解釈されて
そんなでもやっぱり人間が織り成すお話で
些細なことも極論に持ってくと話がわかりやすくなるというか
雲を掴むような話だった精神世界を
ネットまで落としこむと一気に科学的で論理的でわかりやすくなる
世の中には凄いストーリー考える人がいるよなー
俺もこの作品と意識を並列化してみてわかったことって沢山あるよ。


ここまでついてこれた人は是非みるとよいよ、おすすめ。
「私のゴーストがそうささやくのよ」